ちば環境情報センター
2005. 8. 8発行    ニュースレター第97号
代表:小西由希子

目次
  1. ス リ ラ ン カ 報 告
  2. 広がれ!割り箸プロジェクト
  3. 旅と環境 その11 〜英国人の交通マナー〜
  4. 「懐かしい未来〜ラダックから学ぶ」上映会に参加して
  5. 誕生!! YPP小山町たんけん隊

スリランカ報告

千葉市中央区 向後 久美

私は、今年の3月より約2ヶ月間、インド洋に浮かぶ島、スリランカに滞在してきました。
姉と2月に行った、スリランカで津波に被災した子供達への支援活動では、多くの方々からたくさんのご協力を頂き、また、ちば環境情報センターの皆様にも、物資を提供していただき、感謝しております。ご協力いただいた物資の主な内訳は、鉛筆816本・色鉛筆949本・色ペン74本・くれよん392本・らくがき帳等115冊・ノート43冊・折り紙約2000枚となります。これらの物資は、確実に子供達の手に渡るよう、下記へ届けてきました。

◇ Henwala Jayathissa Vidyalaya 
(ヘンワラ ジャヤティッサ 学校)
スリランカ南部にある学校です。津波で学校を失った子供達がこの学校へ転校しましたが、内陸部にある為、政府からの支援を受ける事ができていませんでした。(海岸付近の学校は、今後5年間、支援を受けることになっています。)
◇SPUTNIK International Sri Lanka 
(スプートニク インターナショナル スリランカ)
主に日本とスリランカの国際交流を目的に活動しているボランティア団体です。スリランカ東部トリンコマリーで被災した家庭を対象にアンケートを実施、必要物資を直接手渡しする活動を行っています。こちらにお渡しした物資は、ガールズホーム(女の子の孤児院)へ届けていただいた、とのご報告をいただきました。
◇ その他
青年海外協力隊員として駐在されていて、個人でそれぞれの被災地を慰問されている方へ折り紙をお渡ししました。

私は主に、スリランカ南部、マータラ市に滞在していました。津波発生から約6ヶ月が経ちますが、私が見てきた南西部では、今もその爪跡がはっきりと残っていて、テレビの恐ろしい映像以上の悲惨さを物語っていました。物資をこの手で届けた際に、子供達の笑顔をたくさん見ることができ、皆様からの贈り物が、今後の課題とされている子供達の心のケアに大きく貢献されたことを実感しました。どうもありがとうございました。

さて、スリランカについてですが、この国はとても豊かな自然に恵まれています。海岸にはエメラルドグリーン色した海が広がり、高原では美しい農村風景を眺める事ができ、サファリへ行けば、象を始め、数々の野生動物と出会う事ができます。スリランカ政府観光局によると、国土の計78,000km2以上が、国立公園、自然保護区、森林保護区、海洋保護区などに定められ、そのうち、シンハラ―ジャ熱帯雨林は、ユネスコの世界遺産に登録されているそうです。
何かの本で、「スリランカ人は自然と共存している」と読んだことがあります。実際、大都会を1歩離れると、街中は草木に覆われていて、高木・巨木は強い日差しを遮ると共に、多くの動物達、昆虫達の住処となっています。また、私が滞在していたシンハラ人の家庭では、物がとても大切に使われ、再使用は当たり前でした。何についても、いよいよ使用できないという状態になるまで、使いこまれるのです。かつての日本人の間にあった、「もったいない精神」がそこにはあり、使い捨て時代に育った私達が見習わなければならない点だと思います。
しかし、その反面、近年普及してきているポリ袋やペットボトル、プラスティック製品により、特に都市部ではゴミ問題を抱えていると耳にしました。また、日本から大量に輸入されている中古車は、至る所で黒煙を吐き出しています。
あの素晴らしい自然が汚れてしまう前に、たくさんの生物が被害にあってしまう前に、利便性と引き換えに公害を手にいれてしまった国々が、同じ道を歩もうとしている国に対して、何かできることはないだろうか、と思いました。そして、いかなる場所や国に行く時でも、地球環境に対して意識し続けることの必要性を改めて感じ、地球単位としての環境問題を改めて考えさせられました。私ができることには限度がありますが、次回スリランカへ行く際は、少なくとも日本に居る時以上に、「リユース・リドゥース・リサイクル」を心がけたいです。
最後に、只今、スリランカからの手作り品と共に、各イベントに出店しています。ご興味がある方は、お気軽にご連絡ください。彼らの手作り品で少しでも楽しい気分になっていただけたら、と思います。
ネルムクラフト:nelumcrafts@r3.dion.ne.jp  TEL.090-6153-5914


広がれ!割り箸プロジェクト

千葉大学1年 千葉市稲毛区 葉山 真之

2005年7月10日、千葉ポートアリーナで「広がれ!割り箸プロジェクト」(主催:NPO法人ちば環境情報センター)が開催された。今回は、様々な団体・企業が集まり「割り箸」を対象としたリサイクル活動に関して講演・話し合いの場となった。
今回のイベントは第一部・基調講演として王子製紙株式会社さんの取り組みに関する講演、第二部・各種発表ということで様々な団体の活動報告、第三部・「環境」,「循環」,「プロジェクト」の三つに分かれてワークショップを行った。
第一部では、「割り箸を資源として使う取り組み」と題し、王子製紙株式会社さんの割り箸に関する環境保護活動を紹介していただいた。王子製紙さんは森のリサイクル活動と紙のリサイクル活動を中心に据えた環境憲章というものを掲げ、リサイクルなど環境活動に積極的だという。その一環として、グラウンドワーク運動というものを行っている。グラウンドワーク活動とは、王子製紙さんのスライドによると「住民と企業、行政が一体となって日々暮らしている生活の現場(グラウンド)を創造して行こうという具体的な環境改善活動(ワーク)」とあり、その一環として割り箸の回収も行っているのだという。また、回収した割り箸が紙になるまでの経過も説明していただいた。回収した割り箸は割り箸だけで再生紙になるのではなく、木材のチップと混ぜてパルプにし、それを古紙のパルプと混ぜて再生紙にする。このようなソーシャルワーク的な活動を企業も行っているとは知らなかった。また、王子製紙さんでは家庭廃食用油を回収し、それを燃料にしているという。このような活動が様々な業界でより広がりを見せたら良いと思う。

第二部では、様々な団体の活動を報告してもらった。はじめにCEICでの活動をパワーポイントで説明し、他の団体の活動について説明していただいた。割り箸リサイクルグループ「くるりん」さんは、わざわざ調布市からきていただいた。くるりんさんでは割り箸を紙製品にするだけではなく、再生紙にはできない竹の割り箸で炭を作り、それが好評だという。炭は脱臭などに効果があり良いアイディアだと思う。峯田さんという方は、割り箸を使わず「マイ箸」を持ち歩いて割り箸を使わないようにしている。始めるのには少し勇気のいる行動だが、これも個人単位でできる環境保護活動だ。少しずつこのようにマイ箸を持ち歩く人が増えていけば将来割り箸がなくなる日も来るのかもしれない。今日の割り箸の原材料はその多くが中国からの輸入であるという。しかし、国産材はコスト面から需要が減り間伐が停滞、結果森林が衰退している。そこで、輸入材と国産材の価格格差を埋めるため割り箸袋を広告媒体にして広告料で格差を補填するという取り組みが行われている。それが「アドバシ(Advertising-Hashi)」である。
このアイディアは大妻女子大学園祭で実践された。この割り箸袋を学内のミニストップに持っていけばソフトクリームが半額になる、ということで83名の方が引き替えたという。このアドバシ、デザインも良く、将来的に通常の飲食店などに置いてもいいと思う。また、「ちば わかばネット」では飲食店に割り箸回収をお願いしてい、成果を上げている。割り箸は食べたままではカビなどが生えて回収できなく洗ったり漂白したりしている。大変な努力だと思う。報告にあった参加店舗は四軒であったが、今後より多くの飲食店が参加してくれればと思う。ウェルサンピアの上神田さんは割り箸でなんとお城を造った。写真でしか見ていないがその精巧さは使い終わった割り箸で作ったことを感じさせない。今回会場には小池さんという方が割り箸で作ったアートも展示されていた。これもまた、見事なものだった。
第三部では「環境学習」,「循環」,「プロジェクト」の三つのグループに分かれてワークショップが行われた。自分は「循環」のテーブルについた。そこではアドバシを利用することによって外国からの輸入材に頼っている現在の割り箸の状況を改善できないか、ということが論点となった。アドバシの広告収入で国産の間伐材と輸入材との価格格差を埋めることができるならばその可能性も大きくなる、間伐と同時に割り箸を作れる機械を開発すればコストも抑えられるのではないか、等々様々な意見が飛び交った。
今回このイベントに参加させていただいてまず印象に残ったのは、参加者の熱意だ。皆、環境を取り巻く現状に危機意識を持って改善しようと頑張っている。これは今まで自分の属していた「場所」にはなかった。また、自分も「やりたいヤツが、やればいい」と思っていた。しかし、少なくともこの問題に関しては、それではいけない、みんなで努力して行かなくてはならない。そう思った。いまだ「マイ箸」を持ち歩けるほどの勇気はない。しかし、もうちょっと、せめてコンビニで箸をもらうのはやめようか。そこから少しずつ、自分はこれから始めていきたいと思う。


旅と環境 その11 〜英国人の交通マナー〜

千葉市稲毛区 平田 和博

昨年の九月末にイギリスの湖水地方をバス旅行し、森と湖や牧草の丘など田園風景を満喫してきた。車は日本と同じ左側走行なので違和感がなく、車窓からの眺めを楽しめた。英国人の運転マナーは良く、気持ちよく譲り合っていた。
しかし歩行者のマナーは悪く北京やニューデリーと同様で、信号無視だけでなく車の前を平気で横切る。それでも事故が起こっていないのは、運転手の注意のほどがわかる。それから、走っている車がフランス製のルノーやドイツ製のフォルクスワーゲンや日本製のホンダなどのコンパクトカーばかりで、イギリス製のロバーやジャガーはほとんど見当たらなかった。大きなイギリス人が小さなコンパクトカーに乗っている様子は、ほほえましく思った。節約精神が徹底しているようだ。
それに比べて小さな日本人が車体重量2トン以上もある大きなワゴンタイプの車に乗っているのを見ると、イギリス人を見習って欲しいと思う。ちなみに、フォルクスワーゲンのゴルフは車体重量が1.2トンである。


「懐かしい未来〜ラダックから学ぶ」上映会に参加して

千葉市若葉区 森本 真由美

今日は映画会にお招き頂き、ありがとうございました。参加できて本当によかったです。
私の家族は自営で、家族・親族でやっています。その関係で、一緒に住んでいて、大家族です。子供の時から、常に仕事・仕事の世界にいて、殺伐とし、大人たちはお金のことでイライラし、生活することそのものが苦痛そのものに映り、私自身も、生きること=苦痛だととらえていました。親兄弟の喧嘩は絶えず、複雑な人間関係が嫌で、独り暮らしをした頃は本当にうれしく感じたのを思いだします。
まるで今日の映画とは逆説的なようですが、これも今の経済社会の仕組みが根底にあるからなのでしょう…。
お話させて頂きました通り、映画は想像をはるかに上回ってよかったです(なんだか失礼な言い方でしょうか?)。それは、根本原因や未来のビジョンまでしっかり描いていて、どうすればよいかを提示してくれていたこと、解決の糸口見せてくれたからです。
こういった問題は、程度の差はかなりあるとはいえ、みな分っている…今の社会(現代社会)がよくないこと、地球環境が悪化していること、先の見えない未来に、ブラックに笑って生きるか、受け止めて精神を蝕まれるか…極論的ですとそんな感じじゃないでしょうか。「それで、どうしろというんだ、問題は増えるばかりで解決法はない」。だから、見ないようにするしかない状態です。
参加者の方も言われていましたが、彼等は本当に、「ただ生存している」のではなくて、それ以上の喜びとともに生きている。
遊び感覚に満ちていて、別に服装だって単なる実用性以上のものがあって…私以上に装飾的なピアスしてるし(笑)、ロングスカートで農作業をしていたり。それは環境や自給自足の生活だからという理由もしかりですが、すでにそれ以上のものがあるように思いました。
私達の生活必要品の数は多いけれど、粋な部分とか情緒的な部分、遊び心はなくなり、逆に無味閑散とした、実用性重視の、「ただ生存している」と同じく「ただ実用的」な物ばかりのような気がします。でもそうでなければ逆に、今の社会の中では適切でないのは確かです。
私達の社会では、そういった装飾的で手のこんだものは、大量生産に向かないばかりでなく、そんな遊び心や美的なことや情緒に関与している時間的余裕はないのですから。でも、こういったことも、人の感受性を奪っているのかなぁと感じました。
環境問題とか、平和の問題とか、いかにも「よいこと」の活動の中にも、そういった「物」と同じで、ヒューマンな部分、深みや魅力など、「よいこと」以上のものを持った時、本当の意味で人の心を引き付けられるのかなぁって思います。
今日も映画でも、ラダックの男性の紹介で「口数は少ないが…」と言われていた男性の、外には出さずとも、内的充実度はきっと高いんだろうなぁ…と感じたのでした。


誕生!! YPP小山町たんけん隊

千葉市緑区 松下 恵美子

千葉市緑区の小山町は、2,000世帯以上が居住する住宅地「あすみが丘」と隣接しながらも、豊かな自然を育む里山を残し、そこには清水や湧水が豊富な北総特有の谷津があります。
今年1月、その地に突如として産業廃棄物最終処分場の建設の話が持ちあがり、地元住民をはじめ周辺住民やあすみが丘の住民による処分場建設反対の署名や勉強会などが行われました。

谷津田で見つけた動植物を地図に描いた「自然マップ」づくり

そうした活動のほか、多くの方々に自然豊かな谷津の素晴らしさ、そしてそれを守ることの大切さを知ってもらえないものかと考えていた時に、ちば環境情報センターのYPP(谷津田プレーランドプロジェクト)を知りました。
早速、同区の下大和田での活動に参加し、谷津田での米づくり体験や「自然と触れ合い遊ぶ」といったコンセプトに感動しました。そこで是非、小山町でも同じような活動ができればとの思いから、6月に実施されたちば環境情報センター研修会「ちばエコの丘セミナー」で相談をして、「YPP小山町」が誕生したのです。
「第1回YPP小山町」は、まずは自然観察会からということで、地元の方々のご理解、ご協力を得て7月18日に開催しました。当日は梅雨空がうそのように晴れ上がり、30℃を超える真夏日でしたが、ちば環境情報センターの呼びかけもあって参加者50名(うち子ども26名)のにぎやかな探検隊となりました。
太陽が照りつけるなか、子どもたちは汗をかきながらも必死に草むらや森の木々に目を凝らし、アカガエル,シュレーゲルアオガエル,オオシオカラトンボをはじめ、脱皮したてのオニヤンマ、少し大きめのヒダリマキマイマイ、湧水の水路にいたサワガニなどを発見! さらには、絶滅危惧種に指定されているホトケドジョウやイチョウウキゴケなど、小山町の谷津がいかに貴重かを証明する稀少な生物を見つけることができました。
また、子どもたちは谷津の奥にある大きなコナラの木によじ登り、それに絡まったフジづるにぶら下がって降りる“自然のジャングルジム”遊びを堪能しました。食事のあとは、発見した動物、植物をそれぞれが発表して自然マップをつくり、小山町に残る貴重な自然環境を確認しあいました。
この観察会に賛同し、ご協力くださった地元の方が、休耕田をビオトープにして稀少なホトケドジョウやイチョウウキゴケ、サワガニなどを絶やさない環境づくりをしようと提案してくださっています。その方は、あすみが丘の開発が進むなか、様々な生物が見られなくなったことを目のあたりにし、自然のはかなさ、脆さを実感されたそうです。
産業廃棄物処分場の建設計画はまだ撤回されていません。失われつつある貴重な自然を守っていくために何ができるのかを考えていきたいと思います。
自然観察会は毎月1回の開催を予定しております。また、今後YPPとして取り組む仕事は、休耕田の掘り起こし作業となりそうです。ご関心のある方、ご協力くださる方は、ちば環境情報センターまでご連絡ください。


編集後記:夏本番。千葉市緑区下大和田の田んぼのコシヒカリも開花しました。生きものの宝庫である下大和田の谷津田が、メダカの住む理想的環境としてテレビ放映されます。8月25日午後9時15分からのNHK総合「難問解決!ご近所の底力」です。是非ご覧下さい。   mud-skipper