ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第167号 

2011. 6.8 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 東日本大震災のボランティアに参加して-前編-
  2. 身の回りの化学物質シリーズ4「たばこの化学物質その1」 
  3. 希少な水生植物が生育する都市河川~ 巴波川(栃木県栃木市)の事例 ~(後編)
  4. 貴重で重要な薬用植物の栽培と啓蒙活動に参加しませんか

東日本大震災のボランティアに参加して-前編-

千葉市稲毛区 春山 秀司 

 ゴールデンウィークを利用して震災ボランティアで宮城県石巻市に行って来ました。震災直後から中越沖地震の時のボランティア仲間が入っていたので惨状はきいていましたが、仲間の一人は、精神的に参ってしまって「もう行けない・・」とまで言っていました。その彼は神戸も新潟も経験しているボランティアですが、地震と津波の被害はまるで違うと言っていました。
 今回、一緒に行く計画を立てた高橋は、震災直後にも入っていたので、道路状況なども考慮して少し時間を空けてから行こうということになり、今後どう関わっていくかの視察もかねて4月28日から5月5日の期間で行ってきました。
 高橋とは中越沖地震からの仲間の一人で、いまだに山菜の時期や夏祭りには村の人から声をかけてもらえるので、一緒に小千谷市に遊びに行っています。その他、私の妻と、富士山クラブ職員との4人は私の車で向かい、先に帰る2人と現地集合して6人で行ってきました。
 個人ボランティアはGWに行くべきではないとか、渋滞をひきおこして邪魔になるなどと報道などでは言っていましたが、現地では人手が足りていないと聞いたのと、実際に自分で見てみないとわからないと思ったことや、私は仕事がら体力や電動工具などがあり、大きな車もあること、趣味が登山などのアウトドアなので、自力で食べたりテントで寝たりが出来るので、役に立てると判断して行きました。中越沖地震のボランティアに参加したのもアウトドア雑誌の記事がきっかけでした。

 被災地に近づくにつれ段差の大きくなっていく高速道路を石巻に向かいましたが、明け方の仙台東ICあたりで目覚めて外を見て絶句しました。見渡す限りの更地なのですが、よく見ると、がれきや車などが転がっていて、こんな海も見えない内陸なのに津波が来て、すべてを流してしまったとわかったからです。
 私は稲毛区の浅間神社近くに住んでいて、歩くと海まで30分ぐらいありますが、もし同じレベルの津波が東京湾に来たら、我が家まで津波が来ると感じました。実際にこのあたりは大昔に津波が来て、虫の異常行動があったり、竹林がごっそり流されて地形が変わったと漁師だった祖父から聞いたことがあります。
 29日朝にボランティアセンターがある専修大学に着きました。受付を済ませ、指定の場所にテントを張らせてもらいました。グラウンドにはすでに、カラフルなテントが沢山張ってあり、野外ロックフェスティバルのようでした。
 その日は、午後から牡鹿半島に向かいました。行く途中の石巻市内はテレビで見るよりひどく、少し片付いている市内中心部はガレキと土嚢が歩道に山積みで、中心部をはなれた旧北上川周辺は、見る限りほぼ手つかずで、大型トラックや漁船が住宅や店舗に押しつけられたような状態のままでした。
 あまりの光景に津波の力の凄さしか感じませんでしたが、車や建物をよく見ると、詮索済の札やスプレーで×マークが付いていたり、浸水した線が身長よりも高い位置にあり、沢山の人が亡くなったんだとその時はじめて感じました。
 翌日から日本財団が募集した学生ボランティアが大型バス数台で来るとの事だったので、カキ養殖道具や漁具回収の下見の手伝いと、支援物資で沢山あるという鯉のぼりを小網倉漁港にあげる手伝いをしました。のちに地元の漁師さんと話をしていると、「あなた達がこいのぼりやってくれたの?あれをみて元気が出たよ」と言ってもらえてとてもうれしく思いました。ただ年配の漁師さんの話していることは半分も理解できなくて、若い漁師さんに通訳をいてもらいました。ほぼフランス語です(笑)夕方には専修大学に戻り2人は、ボランティアの全体ミーティングに行き、私は食事の準備などをしました。
 今回の震災で画期的だったのが、石巻では主要なボランティア団体や地元の方などが毎日集まり、ミーティングをして、横のつながりを作っていたことでした。作業報告だけではなく、受けた依頼を他の団体におねがいしたり、ボランティアは周辺の浴場に行く曜日を決めたり、あの店はボランティアにサービスが有るなど、具体的な話が出ていたのが印象的でした。
 私も中越沖地震の時にボランティア同士の争いや、地元の方とのトラブルなども実際見てきたので、今回は神戸や新潟の教訓が生かされていると思いました。トラブルの多くが地元の方中心ではなく、ボランティアが主体で動いてしまったこと、自分たちはやってあげてるというおごりから生じる問題だったので、ボランティアは手伝いで、地元が中心で復興するんだという考えを伝えることが必要だと感じました。           (つづく)

身の回りの化学物質シリーズ4「たばこの化学物質その1」 

市原市 南川 忠男 

 たばこの煙には約4000種の化学物質が含まれています。その中には約200の発がん物質あるいは発がん促進物質があります。それはナフタレン、アントラセン、ベンゾピレン、ダイオキシン、ニトロソアミン、ヒドラジン、カテコールなどです。物質の性状によりガス状物質と粒子状物質に分けられ、喫煙者は自ら主流煙を吸い、周りの方は副流煙を吸っています。

 国内の紙・パルプ製造での年間のダイオキシンの発生量は2.6kgですが、たばこの煙からは3.2kg発生しています。たばこの煙には約5千ng/Nm3の濃度でダイオキシンが含まれており、都市ごみ焼却炉の出口の約3倍あります。たばこ1本でビタミンC25mg が解毒に消費されるので、たばこ2本でビタミンCの収支はゼロになります。吸い過ぎは免疫力を支えるビタミンC不足となり、発症しやすいし、なんいってもがんの発生率が高い。ニコチンや一酸化炭素は動脈硬化や高血圧・脳血管障害の疾患を招き、年間20万人の方がたばこが原因で亡くなられている。喫煙者の血中一酸化炭素濃度は100ppmで吸わない方の10倍です。末梢への酸素供給が少なくなり、更にニコチンは末梢血管を収縮させるので、会社でも周りの喫煙者に寒がり・暑がりが多い。たばこ顔という言葉がありますが、くすんだ顔色、目尻のシワ(ビタミンC不足がコラーゲン合成を阻害し、お肌のみずみずしさが無くなる)、唇・歯肉への色素沈着(特に歯間のヤニ)、毛穴の黒ずみが症状で美容上も対人印象上もマイナス(本人はそう思っていないことが多い)となります。初対面の方が喫煙者かどうかは上記の症状で推察できますね。女性の場合は年より老けた感じを厚めのメークでごまかそうとするのでわかる。
 下の写真は40歳の双子英国人で一人は22歳からたばこを吸い、一方は吸わなかった18年後です。ヘビースモーカーほど歯周疾患が多い。日本人の寿命を短くする最も大きな原因はたばこで6年となっています。
 年間32兆円の医療費の何割かはたばこ起因ですので、喫煙は医療負荷をかけております。喫煙者のみなさんも2011年の夏からたばこをやめてみませんか?        © 写真:禁煙タバコ生活より

希少な水生植物が生育する都市河川
~ 巴波川(栃木県栃木市)の事例 ~(後編)

東京都北区 金子 是久 

 後半は、巴波川の河川整備区間および周辺環境状況を報告する。
■ 旧河川(自然型河川) ■
2005年頃は、水が豊富に流れ、ナガエミクリが群生していたが、その後、治水対策として新たな河川を整備し、上流からの水を流したため、2009年には空掘りの状態となった。

■ 新たに整備された河川 ■
新たに整備した河川においても、ナガエミクリが僅かに確認された。

■ 周辺環境 ■
①遊水地
水田地帯を河川改修工事に伴い遊水地に造成した。通常は湿地もしくはやや乾燥した状態であるが、大雨が降ると、増水した巴波川の水が越流提から流れ込み、池沼となる。植物は、ヨシ、ツルヨシ、コガマ、ケイヌビエ、チョウジタデ等が生育していた。

②水源地の一部
巴波川の水源地の一部であり、かつては白地沼と呼ばれた沼地であったが、その面影はなく、椅子やテーブルが置かれていた。しかし、これより下流に向かうと、湿地や小さい水たまりが形成されており、それらが集水して河川が形成されていた。

③市街地区間下流部
栃木市南部に位置し、河川周辺は主に水田地帯の農村地域である。河川は、自然護岸であり、河川の中に沈水型で生育している植物が、ナガエミクリ、ミクリ等のミクリ類である。

④市街地区間上流部
 栃木市北部の郊外に位置し、河川の周辺環境は水田および畑地などの農村地域であるが、河川は2面張りのコンクリート護岸に整備されている。

※前編はニュースレター161号(2010年12月8日発行)に掲載されています。  


ちば環境情報センター総会と交流会のお知らせ

    日 時 : 2011年6月25日(土)13:30~16:00<総会13:30~14:30,交流会15:00~16:00>
    場 所 : NPO法人 ちば環境情報センター事務所
           千葉市中央区中央3-13-17  TEL&FAX 043-223-7807
    交流会参加費 : 500円


    

貴重で重要な薬用植物の栽培と
啓蒙活動に参加しませんか


                                      NPO法人ラクリッド代表 伊藤 徳家 

カンゾウ(甘草)を知っていますか? カンゾウは漢方薬の原料となる植物です。200処方以上もある漢方薬の70%以上に配合される最も重要な原料植物なので「生薬の王様」と言われています。ところが、カンゾウは国内で消費する全てを輸入に依存しています。漢方薬に必須の植物なのに国内では生産されていないのです。
カンゾウは日本に自生していない植物ですが、そのクスリとしての利用は大変古く、すでに奈良時代には皇族や一部の貴族が貴重品として服用しています。以来1200年間、日本国民はカンゾウを大事なクスリとして大いに頼ってきています。
カンゾウの最大の生産国は中国。しかし野生のカンゾウを乱獲し続けたため、ついに絶滅が懸念される状況になってしまいました。そしてその結果、数年前から日本への輸出を厳しく制限するようになったのです。カンゾウが不足すると漢方薬の生産に大きな支障が出ます。ついに昨年、残念なことに必要な漢方薬が患者さんに届かなくなる事態が一部で発生してしまいました。やはり大切な医薬品原料は輸入にばかり依存していてはいけないのです。
「米」の国内自給率の低さが叫ばれて久しいところですが、実は漢方薬に最も使われている最重要生薬「カンゾウ」の国内自給率は低いどころか、ゼロです。これは何とかしなければいけません。
輸入に頼っていると必要なときに手に入らなくなるのは、最近のレアアースの問題を見れば明らかです。電子機器や携帯電話などに必須のレアアースという鉱物資源は中国が独占的な生産国で、これを利用して日本へ経済的な揺さぶりを掛けていますが、カンゾウも中国に大きく依存しているため「医療分野のレアアース」として非常に大きな危機感があります。この問題を解決するにはカンゾウの国産化を達成することしかありません。この大きな目標の実現のために当会ラクリッドはカンゾウの国内栽培をここ千葉県で推進しているNPOです。
目標は大きいのですがラクリッドは足元を見つめながら地道に活動を進めています。千葉市内の農地でカンゾウの栽培試験を開始し、今年ですでに3年目に入りました。
栽培試験活動は仕事を持っている方でも気軽に参加できるようにできるだけ週末に行っています(添付写真はその活動風景)。また、カンゾウ以外にも数種類の薬用植物の栽培試験も行っています。さらに、普通の野菜も有機農法で栽培しています。
漢方薬などは普段何気なく買って飲んでいますが、その原料植物については知らない人がほとんどです。そのためラクリッドはフィールドワークとしての栽培活動以外に、一般の方に薬用植物のことをより詳しく知っていただくための講演会やイベントなどの広報啓蒙活動も展開しています。薬用植物に興味のある方、漢方薬に興味のある方、広い農地で自分で植物を栽培してみたい方、薬草と効能などに興味のある方、ラクリッドではこんな方々のご参加をお待ちしています。活動に興味のある方は下記までご連絡下さい。
     電話: 043-295-0839  伊藤(午後6時から10時)
     電子メール: lacrid_info@yahoo.co.jp   HP: http://lacrid.jimdo.com/

【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター7月号(第168号)の発送を 7月 8日(金)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記 : 東日本大震災の復興は遅々として進んでいません。被害の大きさに加えて、価値観が多様化した今、「民主主義的」に事を運ぶのが如何に困難な時代であるかを感じます。そんな中、何事もなかったように季節は変化し、緑も深まってきました。谷津田にはホトトギスも姿を見せました。放射能のことも知らずにね。  mud-skipper