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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第166号 

2011. 5.9 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 放射能汚染水道水の浄化方法
  2. お魚の話 その5 「コウナゴと魚の安全」
  3. 身の回りの化学物質シリーズ3 「フロンとオゾン」
  4. 千葉県内の活動団体紹介 4 NPO法人しろい環境塾

放射能汚染水道水の浄化方法

千葉市中央区 角川  浩

 千葉県市原市の牧草に放射能汚染が見られたそうだ。また、母乳からも検出されている。水や母乳って体内被曝に直結し、CTスキャン1回がどうのという対外被曝とは比較にならないはず。市原より東京新宿のほうがいつも数値は高い。千代田、中央、新宿区に牧場、畑があったらどういう数値が出るのか。先日首都大学東京の若い教員が珍しく子供を別荘に避難させたと公言していた(全国紙)。以下、ささやかな自衛策を。
 3月に国の水道課長が全国の浄水事業者に粉末活性炭の投与を促しました。その後、セシウム対策にゼオライトの効能があることが各方面でとなえられ、6月からはフランス開発のゼオライトを主とする浄化装置を作成・稼働させるとの報道がなされました。巷間、ゼオライトの効能がいろいろ取りざたされていますが具体的にどのように取り扱うのかが述べられていないので私の製作例を紹介いたします。
 といっても、今回新たに製作したのではなく、2010年3月発行の自著「初めての雨水利用」に写真.製作方法とともに書かれているものです。当時、放射能汚染など思いもよらないこと。雨水ろ過の事前(荒)ろ過として考えたものです。雨水など一過性の降雨にろ過バクテリアの発生など期待できず、ゆえに事前(荒)ろ過としたもの。1~3月初旬相談を受けていたTV番組「鉄腕DASH村」制作会社にもそう伝えていました。
 それが、考えてみると雨水の浄化ではなく、放射能汚染水道水のろ過に効果があると期待できることに思いつきました。先週だったかTBSテレビの朝の番組になんとかという原子力関係機関のなんとかという客員研究員の方が出演して実演していましたが、その手法はなんと私のやり方をより簡便というか雑にしたようなものでした。基本的に考えることは誰でも同じようです。

<基本説明>ペットボトルの底を切断し、2本重ね、3段目に水をためます。1段目に粒状活性炭を投与。その抜群の「吸着力」に期待します。簡単に通過しないように=点滴のように長引かせるため下のフタにあける穴は小さくします。2段目は異なるろ材、ここでは浄水用ゼオライトを投入。ゼオライトのイオン交換能に期待します。ここでも簡単に通過しないように=点滴のように長引かせるため下のフタにあける穴は小さくします。
以上2段で一定の吸着やイオン交換能は期待しますが、これらの2段の主目的はフィルター。3段目では5時間~半日かけてじっくりゼオライトに吸着させます。そのために用いるのがお茶・麦茶を入れるパックです。中にゼオライトを入れて容器内に吊るします。なお、最上部はゴミ混入防止の機能も加味して,上戸、ウールマット、ステンレス味噌こしをセットしています。みそこし、ペットボトル数を増やせばいくらでもろ材の種類・量を増加させることが可能です。
なお、活性炭やゼオライトの負担軽減のため、塩素吸着はしなくて済むようあらかじめ水道水は透明のペットボトルに入れて太陽にあてます。紫外線で30分か1時間で塩素は分解します(小島貞男、NHKブックスより)。
以上、費用は2千円もしません。20万円の怪しげな浄水器よりはるかにましです。しかし、水がだめな時は野菜も空気もだめなはずで、とすると逃げたほうがよいのかも。

お魚の話 その5 「コウナゴと魚の安全」

大網白里町 平沼 勝男

 コウナゴという魚、最近でも福島第一原発事故の関連ニュースでよく耳にすると思います。放射性物質のセシウムやヨウ素が高い濃度で検出されたというニュースです。 おかげで水産物の売れ行きはがた落ちとなりました。 4月6日には漁業者の代表として全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)の会長が東京電力に抗議をしました。放射性物質に汚染された水を海に流したことに対する怒りの抗議でした。海外、特に近隣諸国からも反発の声がたくさんあがりました。 この全漁連さん、筆者は仕事の関係上よく知っているのですが半民半官イメージがあり、その会長さんが怒ることは意外な気がしました。しかしその怒る姿はとても迫力があり筆者は胸のすく思いがしたことを白状します。ただこの見事なお怒りがそれだけ重大なことが起こっている、魚を食べたら危険といった印象を世間に強く与えてしまったのではないかという危惧も抱きました。しかし海への放水はとまりました。

   


 原発事故のあと近隣の茨城全域や千葉県の一部では漁に出ることができなくなりました。 その後安全が確認され次第漁が再開されましたが、再開しても魚が売れない値がつかないということで大打撃を受けました。 茨城県のコウナゴ漁は今も漁を自粛しています。 福島県では全ての漁業が今も再開されていません。
 ではなぜコウナゴだけが検出されるのでしょうか? 他の魚は大丈夫なのでしょうか? 
 コウナゴという魚、正式な名前(標準和名)はイカナゴです。日本各地に生息しています。形はサンマに似ていますが種類的にはまったく別の魚です。(サンマはダツ目サンマ科、イカナゴはスズキ目イカナゴ科です。)外敵が近づくと砂に潜る習性があります。また水温の上がる夏は砂の中に潜って夏眠をすることも知られています。
 稚魚のときをコウナゴ(5~6㎝)といいます。コウナゴは佃煮やちりめん(煮干)でおなじみですがハマチの養殖の餌としても重要です。7~8㎝でイカナゴ。もっと大きくなるとオオナゴ、メロウドとも呼ばれます。三陸地方では干物にします。炙っておいしい肴です。鮮度の良いうちは刺身にもなります。呼び名は各地で様々なものがあります。ただしキビナゴとはまったく別の魚です、似ているのは名前だけ。筆者は宮城県の女川町でコウナゴ漁の船を見ました。小型の船なのですが、コウナゴの群れを見つけるとすばやく近づき、船のへさきにV字型の網(さで網)ですくいあげるのです。餌床抄い網といわれる漁の一つです。勇壮な漁です。 
 農林水産省の見解ではこのコウナゴ、海面からすぐ下のところを泳ぐ性質を持っているため、大気中の放射性物質が海に降り注ぐことで海面下の放射性物質の濃度が一時的に増え、その影響を受けてしまったということです。
 確かに、コウナゴ以外にもカタクチイワシ、マイワシ、またキンメダイ、ヒラメのような底魚、マイカやアサリやハマグリ等、あらゆる水産物を各県が中心となって検査しています。
 しかし高濃度の放射性物質が検出されたのはコウナゴだけです。全漁連の会長が怒った放水とこのコウナゴの問題には関係がないようです。大気から海に降り注いだ放射性物質の影響であるようです。
 またセシウムやヨウ素は魚の体内に蓄積されることはなく体外に排出されます。食物連鎖によっても高位の捕食者、カツオやマグロなどの体内に濃縮・蓄積されることはないとのことです。

 ここにきてようやく茨城産の底魚の(相場)が値上げをする兆しを見せ始めました。築地市場の荷受会社では販売する水産物に千葉県や外部検査団体のモニタリング検査結果を添付するといった工夫をしています。風評被害の打ち消しに躍起になっているところです。
 しかし水産業における原発の問題は福島県とその近隣県の問題ではとどまりません。 最近日本の水産物は遠く海外に輸出されるようになりました。2010年の輸出金額は1950億円になります。円高にもかかわらず増えています。しかし世界中で日本の原発事故が大きく報道されたことにより、大半の国が日本産の水産物の輸入に規制を設けるようになりました。それにより日本の水産物の輸出は急ブレーキがかかりました。このままでは秋に漁獲される北海道のサケも輸出できなくなるいという状況です。風評被害は海外で大きいようです。政府は全輸出品に安全証明をつける方向で検討を始めたようです。水産物に対する風評被害をまず国内からなくし正常な状態に戻したいです。そのためには正しい情報の共有が一番必要な事でしょう。
 (参考資料;農林水産庁HP、千葉県庁HP、みなと新聞)

身の回りの化学物質シリーズ3 「フロンとオゾン」

市原市 南川 忠男 

 フルオロカーボンは夢の冷媒として1930年にアメリカのトーマス・ミジェリー氏が発明し、大量に生産され、冷蔵庫・空調・スプレーの噴霧剤など生活の質の向上のため使用されましたが、一方、使用後大気に放出された結果、オゾンが2%破壊されました。オゾン(大気圧換算で3ミリの厚さ)は紫外線を吸収し、地上に届くのを遮っています。我々の遠い祖先が水辺から上がってこれたのは、大気中にオゾンが生成して紫外線で焼かれなくなったからです。
 これまでに生物種の大きな絶滅は5回あり、過去5回の大絶滅の主な原因は地殻変動や火山活動・巨大隕石の衝突などの自然災害でした。現在進行中の大絶滅は人間活動が主な原因となって起きています。その原因は①生息地の減少、②化学物質汚染、③紫外線の影響です。その三番目の影響はオゾンが1%減少すると紫外線が2%増加し、皮膚がんが2%増加すると言われ、実際にはこの30年で日本人の皮膚ガンは他の要因もあるが10倍増えました。免疫機能も低下して感染症にかかりやすくなります。逆に干ししいたけや干し魚は紫外線でタンパク質が変性し、うまみ成分になっており、紫外線が役に立っている。

 南極ではオゾンホールと言われるオゾン濃度が低い大規模空間ができています。1974年にアメリカのローランド博士がフロン類によるオゾン層減少の可能性を指摘した論文に端を発して、1987年にモントリオール議定書が採択され、オゾンを破壊する物質である特定フロン、その後の代替フロンが削減対象になりました。先進国ではすでに1995年末をもって生産と消費が全廃されるに至った。議定書の実施を行なうための国内法としてオゾン層保護法が1986年に制定され、フロン回収破壊法も2001年に制定され、各国もオゾン保護に努力しております。先進国におけるオゾン破壊物質の削減が順調に進められました。影響の少ない物質への転換では家庭用冷蔵庫については、これまでR-12からR-134aに転換され、更にオゾンを破壊しない炭化水素系冷媒であるイソブタンへの転換が進められ、ほぼ全ての機種にイソブタンが採用されています。業務用エアコンについては、R-410Aへの転換が進められ、現在はHFC冷媒への転換が完了しております。自動販売機等においては、HCFCであるR-123やR-22、HFC類であるR-134a、R-404A、R-407C等が使用されています。ヒートポンプを使う省エネ機に転換の動きがあります。
 グラフは日本の3か所での紫外線の強さの変化で徐々に増加しているのがわかります。オゾン濃度はフロン生産開始前と比べてすでに2%低下したが、21世紀中頃に増加にかわります。それを加速するために市民ができることは冷蔵庫やエアコンを廃棄する時は販売店に相談すると回収してくれる。但し、フロン回収費用が購入時に支払われていない10年以上前の機器はその時に支払う。
 フロン使用機器を外してから、家屋の解体をすることを確認する。 


    

千葉県内の活動団体紹介 4 

 <団体名> NPO法人しろい環境塾 
<活動場所>
 ベースキャンプ:白井市平塚 945
 活動フィールド:樹林地 7.3㌶(同市平塚、神々廻)  田畑等 3.6㌶(同市平塚、神々廻、十余一)
<活動内容>
 荒廃と減少が続く都市近郊の里山を守るために、「里山を生かしたまちづくり」を目指して、2000年4月組織設立。「里山の生きもの復活作戦」、「里山景観づくり」をテーマに、白井市平塚地区等でモデル事業を展開。
  • 里山保全事業:これまで整備してきた7.3㌶の樹林地等の管理。
  • 農業支援活動:耕作放棄の田畑3.6㌶を生産農地に復元・管理。新たに耕作放棄田60㌃で、不耕起移植栽培、冬期湛水等開始。
  • 竹炭焼・竹細工・キノコづくり:大量に発生する間伐材の有効活用。
  • 子どもの環境教育事業:田んぼの学校、食育等を年間10回以上開催。
  • 市民交流事業:CSR活動、市民活動、自然観察会等にフィールド開放。
  • 写真パネル展:活動の写真を約200枚(A4・A5)、年間130日展示。
会員作業:毎週月,水,土の3日間、9時45分~15時
<機材・設備等>
炭窯,石窯,機材等保管庫(5基),車両(4台),中型チッパー,チェーンソー(12台),刈払機(12台),中小管理機(2台),トラクター,水洗トイレ,水道設備ほか
<連絡先> 
 上西 忠:  〒270-1435白井市清水口 3‐16‐3
         TEL 047-491-0660, E-mail:cyu_jo@kyp.biglobe.ne.jp
         URL://kankyojuku.sunnyday.jp/  

【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター6月号(第167号)の発送を 6月8日(水)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記 : 北印旛沼に行ってきました。沼周辺の自転車道路のあちこちでアスファルトの下が大きくえぐれて陥没、ここにも地震の爪痕がありました。65才以上の100人に原発にたよるエネルギー政策を見直すべきか否かを聞いたところ、約6割が現状肯定だったそうです。皆さんはこの結果をどう思いますか。 mud-skipper