ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第164号 

2011. 3.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 千葉県のハクチョウ事情と鳥インフルエンザ
  2. 石油ファンヒーターと二酸化窒素
  3.  伐採した竹を使いませんか
  4. 思い出の中の女の子4~故郷~
  5. 谷津田で米づくり

千葉県のハクチョウ事情と鳥インフルエンザ

日本白鳥の会関東支部長 東京都文京区 荒尾 稔

 ハクチョウ類という頭がとてもよくて、地域をしっかりと見つめて生存してきた渡り鳥。シベリアと千葉県を秋から春まで旅をして訪ねてくれる、「地球を旅する仲間」です。
 私にとっては、友人みたいな扱いをしているのかなと、時々自問しています。まるで最近話題のウーフー族みたいな、「Willing Working On Organic Farms」の略号で「有機農場で働きたい人達」って言う意味で旅人と接するのと冬期湛水不耕起栽培などで、有機栽培に「ありがたい糞や害草の発芽を阻害してくれる役割」を果たしてくれ、地域価値を高めてくれるハクチョウ類の仲間とは、感覚的にとても近い感じがします。

1.2011年2月8日現在、千葉県下では、
   旧本埜村 1,200羽
   夏目の堰  260羽(内オオハクチョウ5羽)
   佐原市    32羽
   いすみ市   44羽
 白井市及び印西市牧の原に若干のオオハクチョウが越冬中です。今期は、渡来数も渡来か所も、これで確定しました。この2月10日前後から、家族群単位で急速に北帰が始まっていくと思います。
 すでに、いすみ市の個体群の一部では北帰が始まったと考えられます。夏目の堰や旧本埜村の個体群は北帰する渡りのルートの関係で、やや遅れるようです。今期はこのまま無事に北帰してくれることを願っています。

2.今期は、千葉県下では幸いにも鳥インフル関連での事故は生じていません。しかし、この寒波が終わり、春になるまで予断を許しません。
 現在わかってきていることは、冬期間にシベリア等から南下する渡り鳥は多かれ少なかれ鳥インフルの感染が避けられない状況といわれています。ほとんどの水鳥などは多かれ少なかれ、すでに免疫を持つか、健康体で体力低下になっていない限り大丈夫の様です。
 また発症事例でも、2次的な感染はほぼ出ていません。多様な遺伝子をもった野生種はほとんど病気にはならない。しかし単一な遺伝子で、かつ過密飼育でストレスを抱え込んだブロイラーは一発で発症し大量に死亡するということだけは、はっきりしてきています。
 なお最近は、鳥インフルは、大型の水鳥だけでなく、猛禽のハヤブサやカラスやフクロウ等でも報告されており、捕食や死骸を食して感染したり小鳥をも含めて鳥類は気が付かないだけで、いろいろな状況で発症しているとされるようです。幸いにも、人へ感染するというような恐れは、ほとんど話にも出なくなってきています。

3.今後の課題として
① ハクチョウ類への餌付けを実質的に廃止する。
 鳥インフルでの最大の媒介者として、一部の大学教授はオナガガモを取り上げています。この鴨はハクチョウ類の餌付け現場には特有な鴨です。シベリアから米国、欧州、中国等へと個体の移動が激しく、結果として媒介者とされるケースです。
② 渡り鳥との異常な接近を避ける。特に鳥の糞を踏みつけるようなことは厳禁です。一応の距離感をもって、ルールを守って接していただければよいかと思います。
③ それでも、偶発的な鳥インフルでの発生は、今期はともかく来季以降も継続する課題です。対策として、鶏舎のブロイラーにワクチンを注射する。鳥インフルに適応した新タイプのブロイラーに切り替える。などなどが考えられています。ご承知しておいていただければ幸いです。 

石油ファンヒーターと二酸化窒素

市原市 南川 忠男 

 石油ファンヒーター・石油ストーブ・ガスファンヒーターなど室内で暖房に使う機器から排出される二酸化窒素(NO2)や一酸化炭素(CO)の汚染物質がどのくらい出ているか、ご存じでしょうか?これらの物質は灯油や都市ガスを燃やす過程で意図せずに発生します。発生直後はNOですが、ある割合でNO2に変わります。


 1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmが環境基準で、「地域の人の集団の健康を適切に保護することを考慮した指針」ではNO2の1時間暴露値は0.1から0.2ppmで、COは10 ppmです。多く吸うと呼吸障害を招く可能性があるそうです。
 ばい煙や粉じんを発生する一定規模以上の施設では排出濃度と総量が規制されており、地域の固定観測地で測定されており。市原市のNO2は平均0.012ppm(市原市環境白書H20年版より)でした。川崎市など交通量の多い道路に面している場所では上記の環境基準を満たしていない所があります。
 最近の暖房器具は燃焼中の不快な臭いをなくすためより高温で燃焼できるように改善されたので、COは減ったが、NO2は増加しております。
 グラフは450cc/hr規模の灯油燃焼ファンヒーターを16畳の部屋で使用したときの推定値で、暖房開始後30分毎に適切な換気をする場合としない場合の室内の二酸化窒素の濃度推定です。15分経過して0.2 ppm(1時間暴露値の上限)を超えるので、より良い室内環境を作るアドバイスとしては

 伐採した竹を使いませんか

千葉県君津地域整備センター建設課 

 増殖した竹類は、既存生態系を脅かし、河川の景観を悪化させるに留まらず、川の流れを阻害したり、橋や取水施設等に損傷を与える等して災害を誘発し、深刻な被害が発生することが懸念されます。
 そこで、千葉県君津地域整備センター建設課では、竹の伐採を実施しましたが、刈りとった竹(直径10cm位の真竹,長さ3m~5m)が大量に発生しました。もし、竹の使い道があれば無料で差し上げますので、君津地域整備センター建設課(TEL 0438-25-5135担当:平林利夫,小山真人)までお問い合わせください。
○伐採箇所
  ・ 小櫃川 : 木更津市 下郡
  ・ 武田川 : 木更津市 真里谷
○伐採作業時期
  ・ 小櫃川 : 平成23年1月 ~ 3月位
  ・ 武田川 : 平成23年2月 ~ 6月位
○引渡し時期
  ・打合せ願います         ※作業の早い時期であれば、長さの調節は可能なのでご相談ください

思い出の中の女の子4~故郷~

       大網白里町 池野 正則 

 東京から電車で約一時間程度の場所に東京のサラリーマンたちのベッドタウンがあり、2011年にぼくたちはそういった町に住んでいる。サラリーマンたちが三十年ローンで買う家々はささやかだが、明るくて快適な環境だ。サラリーマンたちを支える経済の性格から、この町には金持ちはいないが、かつての農村にあった貧困もない。
 この町に住み始めた頃ぼくは夕方に公園からこの町を見ていて、感動してしまったことがある。家々に明かりがともり始めた時「ああ、あの一つ一つの下に愛情で結ばれた男の子と女の子が住んでいるのだな」と思ったのだ。
 しかし同時に、この町の男の子と女の子の結びつきははかない。娘のクラスでもたくさんの両親が離婚したらしい。6年生になるころには「夫婦ってのはだいたい離婚するものだよ」とかわいい口で娘は男女の関係を一般化するようになった。
 愛情だけを根拠に結びついていて、愛情という根拠を失うと解散する、砂糖菓子のような恋愛を体現した町。そして、そういったスウィートな価値観を持ち続けることができるほどの経済的な実力に支えられて浮かんでいる町。
 ぼくの娘にとっての故郷は砂糖菓子の町だ。娘にとっての環境はこういった文脈の中でとらえることのできるものだ。

里山から学ぶもの
 それに対して、伝統的な日本の農村の環境はそこに住む人々に全く異なった影響力を持つ。田畑にしろ、里山にしろそれらは生きていくために欠くべからざるものだ。
 その意味では農村では環境を保護したりはしない。それは保護する対象というよりは胎児にとっての母体のような意味を持つもので、人は環境を保護できるような立場にはいないのだ。
 おそらく我々が里山を通して自然との関係を考えようとする時、こういった事実を意識しながら進むことが重要になってくるだろう。ハウツーを学ぶだけでは里山環境運動は一部の意識の高い人々にしか受け入れられないだろうし、あらゆる運動は普通の人々に受け入れられなければ運動に参加している人々の独りよがりで終わってしまうからだ。

思い出の女の子に待たれる
 この文章を書いている時、故郷という歌が頭の中で繰り返しまわっていた。「ウサギ追いしかの山」というやつだ。
 そして、書きながら気がついていったことは、この歌をつくった詩人も、そして好んでこの歌を歌い継いだ人々も、山河を歌いながら思い出の中の女の子を思い出していたに違いないということだ。
 しかし、それにしても、十代の時に肌を触れ合った複数の女の子を思い出すというのはどういった体験だろうか。彼らはたとえニューヨークで仕事をしていても、夜になれば異国の地で、故郷の山河のように自分を受け入れてくれる女の子たちを心の中に連れているのだろうか。
 もしそうだとするとうらやましくておとぎ話の世界のできごとのようだ。しかも、初めに触れたように柳田国男によると大人になってからでも彼らは年に一度の祭りの夜には思い出の中の女の子に触れることができるという。

砂糖菓子の町では
 ただ、もし誰かがぼくをそういった美しい村に誘ってくれても、ぼくはたぶんそこに永住することはできないだろう。複数の思い出の中の女の子たちがどれほど心地よい存在であっても、ぼくはそういった女の子たちではなく、恋愛のピラミッドを積み上げて近づいてくる唯一人の女の子を望む
 からだ。資本主義的な生産力に支えられた自由の地はたとえそれが、孤独と表裏一体のものであってもあともどりできない魅力を持っている。
 同じように、伝統的な社会の里山経営がいかにすぐれたものであっても、それがわれわれにとって同じような意味を持つとは限らない。我々はそれを意識して進まねばならない。さもないと里山が我々にとって意味のある里山にならないまま終わってしまう可能性さえあるのだ。

<会費納入のお願い>

 日頃よりNPO法人 ちば環境情報センターの活動にご理解,ご協力いただきありがとうございます。
 新年度を迎え、今年度の会費納入の時期を迎えました。
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 宛名タックシールに会費納入状況が記載されていますのでご確認ください(行き違いの際はご容赦ください)。なお、年度については4月から翌年の3月まで、複数年度の納入歓迎いたします。 

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   銀行振り込みの場合:千葉銀行本店 普通 口座番号3627678,
                口座名義:特定非営利活動法人 ちば環境情報センター 代表 小西由希子


    

谷津田で米づくり

                         千葉市稲毛区 北山 理恵子 

  初参加はおととしの秋の稲刈りでした。「田んぼ」の作業は初めて。とりあえず普通の長靴で行けば大丈夫かと自分では気合いをいれたつもりが甘かった・・現場を見ていそいそと田んぼ用の長靴を借り、入ってみれば底なし沼、どこまでも足が入って抜け出せない!「な、何だこれっ。」テレビで見た田んぼの作業での芸能人のリアクションは少しは演出かと思っていましたが、あれはきっとマジだったんだと気付かされ、周りで慣れた足取りの方達を羨ましく恨めしく!?見つめながら、陸上の生活を懐かしく感じる初日でした。
 米作りの大変さのほんの一部を体験でき、そしてこの谷津田の場所と人々の空気の心地よさに魅せられ、また、大阪育ちでも、母の実家が栃木の農家、一応農家の孫としての意地もあって即入会を決めたのでした。
 今年度はまず見た目から、ひざ上までのロングタイプ長靴・手袋いろいろ用意して、リベンジ!ただ、想いと行動は別なのか、ついつい腰が引け目の私でした。今年はきぼーるからも参加者がいて、いつもにぎやかな作業。裸足が楽よ~とフレッシュなママさんが豪快でこんな楽しみ方も素敵。すごく地道な作業だけど、皆でやればより楽しく、時にはただ黙々と「無」になって作業するのもとてもいい。
 田んぼの中から大きなザリガニが出てきたり、蛙が飛び跳ねてみたり、子供たちもここは大好き。生き物が苦手だったはずの長女が、いつの間にかかわいい!と触れるまでになって、ここでの成長ぶりにはびっくりです。ただ、来年度はもっと米作りに参加して欲しいな。稲刈りは自信になったようですが。
 唯一脱穀だけ今年も参加できずに残念でしたが、ほとんどが手作業で農薬も使わず、かかし作りで子供たちも楽しませてくれながら、とても充実した1年でした。できたお米は美味しくて美味しくて。
 玄米が一番農薬がたまっているそうです。無農薬玄米を手に入れるのが意外に難しいので、谷津田の玄米は貴重ですね。
また、玄米は7時間以上水につけるのがいいそうです。豆も一晩置くのと同じようにミネラルなどの吸収を阻害する

【発送お手伝いのお願い】

ニュースレター4月号(第165号)の発送を 4月8(金)10時から事務所にておこないます。発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記 :2月22日ニュージーランド南部カンタベリー地震により、4日現在死者163人、日本人28人が行方不明になっています。マグニチュードは6.3でしたが、震源が浅かったのと地盤が悪かったことで大きな揺れが襲ったのです。クライストチャーチは沼を埋め立てて作った町だとか。千葉の海浜地区のことが心配になりました。  mud-skipper