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ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第151号 

2010. 2.8 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. イノ シカ チョウ の めぐりあわせ
  2. 中国冬景色
  3.  下大和田谷津田と「谷津田大福帳」
  4. ちょこっと工夫でエコクッキング   その4

イノ シカ チョウ の めぐりあわせ

上総之国一宮(現長生郡一宮町) こまちだ たまお 

 2009年2月初頭、高校時代からの友I氏からのメール。
 「親父がしとめた イノシシです。」
 イノシシがまるでフランシス・ベーコンの絵画のように吊された画像だった。その巨体は小さな携帯の画面からも迫力をにじみ出していた。
 I氏のお父様は、水道屋さんをしながら漁もするけれど猟もする方。猟友会に入られ毎年、イノシシ,鹿などの獣を捕獲されている。私が知っている限り、猟をする方ほど優しくて力強くて一緒にいて安堵する大らかさを持ち合わせている方はいない。I氏のお父様も同様に優しい眼差しのお方。
 美味しいお肉も欲しいけれど。。。 思い切って「頭の骨下さい!」。
 こんなこという人いないだろうなあ。案の定、驚かれた様子。お肉以外は廃棄されるそう。それを庭に埋めて白骨化し、また絵に描こうというのだから。。。びっくりされるのは無理もない。美術の教材では基本中の基本モチーフとして牛骨などが販売されているけれど、そのことを知っている方は少ない。
 次の日I氏とI氏のお母様と共に、我が家やの庭に50cmぐらいの深さの穴を掘り、埋める。それもサクラの木の下に。。。。。。いわば「禁じられた遊び」の開始である。心にギターのあの音色が響く(多分私だけ)。
 お母様の助言は半年でほぼ白骨化するのではとのこと。勤労感謝の日あたりに骨堀しますかとなった。野良犬に掘り返されぬよう重し=マークをのせる。
 イノシシ埋めから12日経った2月20日、今度は鹿の頭蓋が我が家に来た。I氏のお父上にお願いしておいたのである。但し、鹿を射止めるのは至難の業、特に雄の立派な角、ましてや完全なる形態の角は早々手に入らない。いつ、、、その機会があるのか無いのかわからずそう心構えしておったのだが、直ぐに仕留められた。運が良いと言うしかない。感謝、感謝の一言である。それもお父上曰く「信長の兜が作れそうな角」とのこと。
 大多喜産、私と同じ生まれも育ちも房総人である。(ちなみにイノシシは茂原市三ヶ谷産。人里である。)庭にお出ましになった鹿は下あごは既に処理されていたが、その角の素晴らしきこと! もうこのままの状態で美しい。今度はクルミの下に埋めた。
 かくして、夏のかぐわしい腐臭の蔓延、虫むし種々の団体活動という懸念は全くなく秋が過ぎゆき、そして冬に入った。私共は予定通り 11月22日 骨堀を実施した。I氏、Sさん、W家家族、私と娘での作業。
 安直な妄想で描いていたニオイ,バイ菌に覆われた頭蓋を心配していたが、全くといって良いほど無く代わりに私共の想像を遙かに超えた現象が起きていた。
 少しずつ少しずつ土を分けていく興奮する大人達。角はこっちだ、もう少しこっちかもと僅かばかりの土を予想しながら削り薦めていくのがなんだか楽しい。やっぱり心のBGMは禁じられた遊び。(私だけ、、だと思う)

 しかしながら 私たちは驚いた状況に出くわした。土の中から現れたのは骨だけではなく、それを覆うレース編みの如く細かく絡み合った木の細い根っこだった。骨から離れた他の土には細い根っこが当たり前のように四方に張っているだけだが、頭蓋に向かって僅かに太い根が一目散に進んでいる。特に脳の部分に目から入り込んだ根っこがすごい勢いで絡み合っている。少しでも栄養があるところを! と触覚を伸ばし全てを吸い尽くそうとしているようだった。根っこを引っ張ると骨が崩れてしまいそうなほど絡らんでいる。土から骨が動かないのである。植物の生きるためのエネルギーを強く強く感じた。
 骨はもう大地に一部となるべく微生物,虫,そして、植物によって土と一体化しつつあった。大地はこうやって めぐり めぐっていく。その循環を まざまざと 生き物たちから叩き付けられたのである。私たちは結局、周囲の根っこを絶ち切って取り出し、根っこごと風雨に晒して根っこを弱らせてから きれいにすることにした。根っこで覆われた その骨の姿は 神々しい この言葉に尽きる 美しさだった。
寒い、小雨の降る中であったが、私たちは大地の偉大なる深さと美を実感させられた興奮でなんだか体もぽかぽか 生命力を頂戴したようだった。
幾人かの子供たちは同行したけれど、教室(私は美術の教室をしています。)の子供たちと一緒にこの作業をすれば良かった。地球のめぐり、命の大切さを知る良い機会だったのでは。。。大人がこれだけ胸に響く出来事だったのだから。。。そう、心から思った。。。。。。また、今年のI氏お父上の成果を密かに待っている。
今、骨達は我がアトリエの軒下で雨風寒さに耐えながら、更に美しさを増している。いずれは、絵のモチーフとして表現者に生命の尊さを得る刺激を与えてくれるであろう。生まれてくる作品が楽しみである。
 もう一声で蝶の舞う季節に移りゆく。今度の春のサクラは美しいに違いない。I氏が言った。まるでイノシカチョウみたいじゃない!花札が出そろうを 心待ちにしている。
 ご協力いただいた I氏、ご家族に心より感謝申し上げます。 

中国冬景色

大網白里町   平沼 勝男 

 このたび出張で中国の山東省青島・烟台から遼寧省大連・旅順を訪問しました。その道すがら、見聞きしたことを報告します。今年は現地の人に言わせると30年ぶりの寒波とのことでとにかく寒かったです。初日大連からすぐに青島に移動したのですが、大連の空港に降り立った時は気温マイナス7度。(最低気温はマイナス17℃だったそうです。)日中は青空で太陽が燦燦と輝いているのですがそれでいて外は肌を刺すような寒さでした。湿度が少なく乾燥しています。沿岸部の烟台を除いて雪はほとんどなく、寒い地方イコール雪景色の日本とまったく異なる気候でした。

 中国は毛沢東時代に山を削って畑にし、木を切って暖房や製鉄など産業の燃料にしたため国土の大半の木が伐採されたそうです。今でも緑が乏しく荒涼とした景色です。最近は木を植えるように政府が力を入れているようですが、緑豊かな日本から来た人間には驚くばかりの景観です。そのせいもあると思うのですが野鳥はとても少ないのです。約10日間過ごしましたが、都市部ではまず鳥を目にしませんでした。やや郊外に出るとカササギはいます。この鳥だけは良く目にしました。木の上によく巣をかけています。農村部に行ってようやくスズメの群れ見ました。それも数回程度です。他に見たのは1度だけドバトと思われるハトの群れ、飛んでいるカモ1羽。烟台-大連はフェリーに乗ったのですが、海岸付近でオオセグロカモメらしき鳥を数羽目にした程度でした。移動距離は相当あるのにこの程度です。まさに鳥なき世界でした。
 中国経済の発展はマスコミで大きく取り上げられています。確かに中国の人と話をすると景気のいい話を耳にしました。今回は1年半ぶりの中国訪問でしたが、前回よりもさらに自動車は増え、大都市では渋滞もありました。高速道路も各地に伸びています。マンション建設もまだ進んでいます。薄型テレビ・携帯電話も普及しています。これからは高速鉄道(新幹線)が大都市間を結んでいくそうです。誰もが国の発展を信じ、豊かになる生活を楽しんでいるようでした。私もこちらに滞在すると楽観的になり日本の不景気を忘れるほどでした。中国の人とふれあい心温まる交流もありました。しかし経済発展と豊かになる生活の中でもっと身近にある自然のことを見つめてほしいと思いました。

 下大和田谷津田と「谷津田大福帳」

   千葉市稲毛区 吉田 紀恵 

 「吉田さんが“やつだ大福帳”のポイントリーダーだよ。」そう言われ、あらためて考えてみると今シーズンはよく参加させて頂いた1年だったなと思います。“大福帳”は以前“谷津田だより”にも紹介されていたので皆さんご存知かとは思いますが、谷津田の活動に参加してスタンプをもらい、貯めたポイントでお米が頂けてしまうポイントカードです。五歳を筆頭に三人の幼児を連れて田起こしに始まり、田植え・稲刈り・脱穀まで活動に参加させて頂き、谷津田にお邪魔するようになって、四シーズン目で過去最多の活動回数となりました。
 我が家が下大和田の谷津田に通い始めたのは三年前、現在五歳の長男が二歳になったばかりの夏でした。環境問題がクローズアップされる中、親の私たち夫婦が環境の事、自然の事に全く無知なので谷津田で遊んで皆さんと触れ合うことで子供が自然と環境の事等身につけてくれればと思ってのことでした。

 今でも、初めて谷津田に来た時のことを鮮明に覚えています。国道で車を降り、トンネルを抜けるとそこはまるで別世界。暑い日だったのに“谷津田ってこういう処か”と、すぐに理解できるくらい谷間に沿って風が爽やかさに吹きぬけ、木々や田んぼの緑に太陽の光が眩しく反射していました。息子そっちのけで私がすっかりはしゃいでしまいました。肝心の息子はというと、二歳の誕生日の直前まで全く独り歩きをしようとしなかった晩成な子だったので案の定もじもじ。風が吹けば抱っこを要求し、眠くなればベビーカーに乗り込み、元気な時でも国道まで戻って、道行く車を見物する始末でした。
 当たり前のことなのでしょうが、そんな我が子も通い続けるうちに少しずつ田んぼに入り、虫に触ることが出来る様になりました。翌年には双子の弟と妹も生まれ兄弟で競っていろいろ谷津田での遊びを覚えていっている様子です。去年までは田植えや稲刈りにさほど興味を示さなかった長男も、今シーズンは父親に「田植えをやりたい」、「稲刈りをやりたい」と、積極的に米作りに参加するようになりました。最近では米作りに関していろいろな疑問も沸いてくるようでメンバーの方に質問などもできる様になりました。又、刈ったお米やカマキリの卵など幼稚園に持って行き、教わった事を先生やお友達にレクチャーしています。その時ばかりは息子も自信たっぷりで「取り柄があるって素晴らしい。」と、思ってしまいます。取り柄と言えるのかどうかは分かりませんが(笑)。
 遅刻ばかりの吉田家もメンバーのみなさんの温かい笑顔と優しさに励まされここまで頻繁に下大和田に通う事が出来ました。子供の世話をしている間に活動が終わってしまうことも多々ありますが、来シーズンもたくさんイベントに参加させていただきたいと思っています。
 「田んぼ行くぅ」。イベントがある日になると2歳の双子が、朝食後歯も磨がかないうちから玄関で靴を履き始めます。まだお弁当も作っていないのに(笑)。
 そもそものきっかけの“環境問題”の件はまだまだですが、谷津田での楽しい経験を通して「温暖化ってなんだろう?」と、食卓で自然に会話出来るようになったらいいなあと思っています。


ちょこっと工夫でエコクッキング   その4
   ~ポイッと捨てちゃうその前に。。。「捨てずに食べよう!」~

                   千葉市緑区 江澤 芳恵
            
 先月は、「さつまいもの皮を捨てずに大学芋かりんとうを作ろう!」というお話でしたが、今月も、先月に引き続き「捨てずに食べよう!」シリーズでいきたいと思います。
 まずは、野菜の皮。皮ごと食べてしまうこともありますが、例えば、煮物やサラダに使うにんじんや大根は、皮をむいてしまう私。でも、皮のすぐ内側には栄養も多く含まれていますし、捨ててしまうのは勿体ない。というわけで、にんじんや大根の皮は、少し厚めにむいてとっておくことにしています。にんじんの皮なら、千切りにして、きんぴらや野菜炒め、かき揚げなど、油を使うメニューに入れると、皮だなんて気づかずおいしくいただけます。大根の皮でよく作るのは、ピーマン、にんじん、じゃこといっしょに炒めてしょう油で味付けした炒り煮。先日、小山町YPPの時、差し入れてもらった、大根の皮と大根葉のきんぴらもとてもおいしかったので、早速、家でも作っています。また、おでんやふろふき大根を作って、大量の皮が出た時には、ちょっと、ひと工夫。皮を千切りにした後、ザルに広げて日に干して、皮切り干大根にします。甘味も増して、コリコリした皮切り干大根は、ごぼう、にんじん、れんこん、干しシイタケ、油揚げといっしょに甘辛く炒めた後、酢を加え、煮なますを作ったり、ハリハリ漬けにするとおいしいです。ところで、「皮に付いた残留農薬のことを考えると、皮は捨ててしまった方がいい」という考え方もあると思いますが、残留農薬は水洗いすることで落とすことができるそうなので、私はよく洗って使うようにしています。
 さて、野菜の皮以外にも、捨てずに食べられる食材はいろいろ。みなさん、三枚に下ろしたあじやさんまの骨、捨てちゃってませんか?この骨を、皮大学芋かりんとう同様に、低温からじっくり油で揚げると、パリパリの骨せんべいの出来上がりです。カルシウム補給にもなるし、おいしいです!その他、味噌汁などのだしをとった煮干しやけずりぶし、昆布などは、とっておいて、まとまったら佃煮にしてもいいし、そのまま、味噌汁の具として食べちゃってもOKですよね。「エコクッキングの原稿を書くからには、もっとエコに心がけていろいろためしてみなくっちゃ」ということで、最近は、イカのわたを捨てずに、塩辛作りにもトライしています。
 いろいろ書いてきましたが、まだまだ探せば「捨てずに食べよう!」食材はたくさんあるのだと思います。おすすめの「捨てずに食べよう!」食材がある方は、教えてください。あれこれためしてエコメニューのレパートリーを増やしたいと思いますので、よろしくお願いします。

発送お手伝いのお願い

ニュースレター3月号(第152号)の発送を3月8日(月)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します


編集後記:2月に入って、真冬の寒さが続いています。2日には雪も降り、東京では転倒などで300人以上の人がけがをしたそうです。この寒さの中、下大和田ではニホンアカガエルが産卵を始めました。1月17日に早くも4つの卵塊が確認され、28日には会員の網代春男さんが5ペアの抱接・産卵を確認しました。もうすぐ春ですね。 mud-skipper