ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第146号 

2009. 9.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 気候変動に関するマニフェストについて
  2. エコ体験スクールに参加して
  3.  ポケット図鑑で「いきものみっけ」
  4. えこ日誌が冊子になりました
  5. 「生きものカード」を作りました

気候変動に関するマニフェストについて

 八千代市    松尾 昌泰 

1.さまよえる大型船の舵をきるには
 エコ、エコといわれて久しい。新聞・テレビでもエコ、企業もエコ、市民団体もエコ、「エコ」は1つのブームにもなっている。私たち個人は省エネなどの努力を続けているが、CO2は増え続けて、その影響も大きくなっている。
 この状態は、あたかも「日本という大型船が、危険に気づきながら、大きく舵をきることなく、大海をさまよっている。」ように思われる。
 その危険を避けるためには、安全な方向に舵をきらなければならない、即ち、CO2を削減するために気候変動に関する法律・仕組みを作らなければならないと思う。
 今回の総選挙を機に、各政党の気候変動に関するマニフェストを調べてみた。

2.各政党の気候変動に関するマニフェストはどうだったか?
 どの政党も、気候変動問題については、「政党としての優先順位」は大変低い。気候変動は、今や、私たちや子孫の生活・暮らしをまもる最大で最優先のテーマであるはずなのに。
①中長期目標について
 多くの政党では、2020年目標として90年比 25~30%削減、2050 年目標として90 年比60~80%削減を掲げている。評価できると思う。
②炭素に価格をつける仕組み(キャップ&トレード型排出量取引・炭素税)について
 多くの政党で、キャップ&トレード方式による実効ある国内排出量取引制度と炭素税(地球温暖化対策税)の導入を挙げている。世界の流れに遅れをとらぬよう、急いで実現してもらいたい。(なお、日本の現行の排出量取引制度は、企業の自主参加・自主目標・自主取組み方式であるために拘束力もなく、このままでは削減できない。)
③再生可能エネルギーの導入目標
 目標をあげてない政党、2020年に一次エネルギー供給に対する再生可能エネルギーの割合を、10%、20%とする政党など、まちまちである。第一次エネルギー供給の20%以上の目標を掲げ、再生可能エネルギーの利用を飛躍的に増やすことが急務だと思う。
④再生可能エネルギー電力の「固定価格買取制度」
大半の政党が、風力なども含め、すべての再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入をうたっている。
近く、始まる買取制度は、太陽光の余剰電力だけで、価格も電力料金の約2倍と高くない。これを、全ての再生可能エネルギーに対象を広げ、より高価格で全量買取りへ拡張することが求められる。
⑤自動車税関連税について
 自動車関連諸税の暫定税率については、残念にも3政党が「廃止・削減」としている。
目的を達成した「暫定」かもしれないが、自動車関連諸税は炭素税の役割を果たしているので、引下げることは逆行政策である。今後の検討で、ぜひ、暫定税率を上回る税率の「炭素税」を導入して、CO2排出を抑制してもらいたい。
⑥高速道路料金について
 残念なことに2つの政党が高速道路無料化・割引をうたっている。高速道路料金の無料化・割引は、CO2排出増加につながり、本来推進したい公共交通機関(鉄道、バス、フェリーなど)の衰退を招く。温暖化対策に逆行する料金の無料化・割引は制度から取り下げてもらいたい。

3.思うこと、私たち市民ができること
 今回の総選挙では、政権交代に関心が集まり、各政党のマニフェストの内容で選ぶという面は薄れたが、今までになく各政党のマニフェストが注目されたと思う。
 私たち市民が、もっとマニフェストに関心を持ち意見を発信することが、各政党でのより完成度の高いマニフェストを作る原動力になると思う。
再生可能エネルギーの割合が少ない現状では、例えば原発のトラブルがあれば、私たち市民や企業は、自分たちの努力に関係なくCO2を多く出してしまう。今、市民や企業に省エネを求めているが、これは基本的には自主的な参加・努力であり、「自主」だけでは限界がある。
川の流れで言えば、下流の努力のみでなく、上流の対策こそが必須である。上述の②~⑥に関する政策こそが上流の対策の基本の一つだと思う。
 産業界は温暖化防止に関する規制に反論するが、CO2排出前提の今の産業はいずれ衰退する。低炭素社会を軸とした新しい産業へ早く転換しなければ、世界経済の中で遅れを取り、日本経済は成り立たなくなるのではないか、と思う。
CO2を多く出す人や企業は損をして、CO2を少なく出す人や企業は得をする社会・仕組みに近づけるように、私たちからの、そして市民団体からの「小さな声とアクションを、大きなうねりに」していきませんか。 

エコ体験スクールに参加して

 千葉市美浜区   高橋 久美子 

 8月22日、下大和田の谷津田で行われた「千葉市エコ体験スクール」(主催:千葉市,実施主体:NPO法人ちば環境情報センター)に参加しました。稲穂は黄金色に染まり始め、森にはいるとヒグラシの声が響く、少し暑い日でした。
 小学生30数名を8グループに分け、午前中は谷津田の自然観察。私は、越川先生とご一緒に、5年生の女子4名のグループを担当しました。私たちの頭の上を、大きなオニヤンマが何度もパトロールしていました。クモの巣にかかって死んでいたのは、コオニヤンマでした。「よく似ているけど、コオニヤンマはサナエトンボの仲間で、左右の眼の間が離れているでしょう。」後で、図鑑を開くと、オニヤンマはオニヤンマ科で、コオニヤンマはサナエトンボ科でした。なるほど。

 皆でトンボやカエル、ザリガニを捕るのに、大騒ぎ。誰かが捕ったノシメトンボを小型の水槽に入れておいたら、なんと産卵し始めました。1㎜くらいの黄色い球形の粒々が、お尻からポロポロとこぼれ落ち、容器の中で転がりました。これには、皆ビックリでした!私が卵をもらって、家に持ち帰りました。水に入れて、飼い始めると、茶色に変わりましたが、未だに孵化はしていません。
 午後は、かかし作り、工作、魚・ザリガニ釣りなど希望する班に分かれて活動しました。ザリガニ釣りが人気でした。「共食いもするから、持ち帰るのは、1匹だけにして、あとは放してください。持ち帰ったら必ず、死ぬまで飼ってください。家の近くの川などに放してはいけません。生態系というのが乱されてしまいます。」子どもにとって、生き物はやがて死ぬということを、実感するのも大切な経験になるのでしょう。

 私は、福光さん、江澤さんとともに可愛らしい女の子のかかしを作りました。お米を守ってくれるといいですね。色も形も様々なかかしが4体、完成しました。『オズの魔法使い』と『ハウルの動く城』のかかしを、思い出しました。工作をした子どもたちは、作った笛をピーピー鳴らしたり、竹トンボを飛ばしたりして遊んでいました。なんとも楽しく充実した1日となりました。遊び疲れた翌日は、処暑。秋めいた風に、季節の移ろいを感じました。

 ポケット図鑑で「いきものみっけ」

    鎌ヶ谷市 倉田 智子 

 環境省生物多様性センターの「いきものみっけ」をご存知ですか?季節ごとに身の回りの生き物を探し、報告するものです。かわいい図鑑に報告するものが載っています。

 探すものー夏はツマグロヒョウモン、アメリカザリガニ、クマゼミ・・・。秋はヒガンバナ、イチョウの実、ナナカマドの紅葉、春はウグイス、ツクシ、そして桜前線・ソメイヨシノ・・・。

 いつ?どこで?見つけた日と場所をメモします。季節ごとの締切日までに「いきものみっけ」事務局に報告。郵送、ファックス、パソコン、携帯電話どの媒体でもOK!

問合せ先:全国地球温暖化防止活動推進センター内
「いきものみっけ」事務局 
TEL:03-3568-4131 E-mail:info@mikke.go.jp
URL:http://www.mikke.go.jp/

 2010年10月名古屋市で生物多様性条約第10回締結国会議が開催されます。この会議(COP10)に「いきものみっけ」の記録が使われます。生き物の存在、そしてあなたからの報告が生物多様性や地球温暖化を語るのです。

 千葉県は「生物多様性ちば県戦略」を県民参加のもと、2008年3月策定しました。先進県の生き物好きとして「いきものみっけ」に参加しましょう。

 「いきものみっけ」千葉県幹事 倉田智子・小西由希子


えこ日誌が冊子になりました

大網白里町 中村 真紀 

 以前、ニュースレターで連載させてもらっていた私の『新米主婦のえこ日誌』が冊子になりました。
今までの内容に加え、更に短いコラムや先輩主婦の方々からのえこ便りも加わって、バージョンアップ。わかりやすい江澤さんのイラストと4コマ漫画でおなじみの環境漫画家つやまさん作の私の似顔絵はそのままです。
お陰様でご好評頂いています。ちば環境情報センターの行事や参加イベントなどで配布しますので、良かったら手に取ってみてくださいね。

「新米主婦のえこ日誌」をご希望の方および、4ページにある「生きものカード」をご利用したい方は、NPO法人ちば環境情報センター事務所までご連絡ください。

NPO法人ちば環境情報センター
〒260-0013  千葉市中央区中央3-13-17
  TEL&FAX:043-223-7807
  mud-skipper

 


 

「生きものカード」を作りました

                      千葉市緑区 網代 春男 
 県立中央博物館で行われた生物多様性にちなむ市民企画展にちば環境情報センターが参加し、2009年8月25日から31日まで展示を行いました。
 その中で「生きものカード」を活用方法とともに展示し、私たちと同様に観察会を行っているグループの方からは「まねをさせてもらう」とか「いろいろに使えてなかなか良い」など好評を頂きました。ここにご紹介します。まだ作成途上ですが観察会などで補助資料として利用していただければ幸いです。

生きものカード 
 里山に暮らす生きもの達の写真をA5版に収め、裏面に図鑑などに記載された大きさや出現期、生態、特徴などをこども達に理解できる程度に記しました。それをラミネートフィルムでパウチしたものです。当面、200種くらい用意したいと思っています。

使い方
・ 観察会のとき、その季節にいるもののカードを持ち利用します。
・ テーマを持った観察会に活用します。例えば「田んぼの生きもの探し」「樹液に集まる虫」「トンボの観察」「チョウの観察」「バッタの観察」などテーマごとの生きものを抜き出して利用します。
・ あれは何、これは何と種名を教えるのではなく、こども達が自分で捕まえた虫とカードを見比べて名前だけでなく暮らしなども調べてもらいます。
・ 虫の名前をあてっこします。例えばモンシロショウと答えたら、なぜモンシロチョウなのかを話し合って、似ているスジグロシロチョウとどこが違うのかなども知ってもらうようにします。
・ バッタ担当、トンボ担当、チョウ担当、などとこども達にカードを分けて持たせ、捕まえた子と、担当の子で一緒に調べてもらうのも良いでしょう。
・ 観察会のときスタッフが虫に詳しいとは限らないので、そういうスタッフ自身も利用できます。(発想はここからスタートしました。ある定例で実施している生きもの調査に私が参加できなくなり、このカードを作り利用してもらいました。)     

 このカードがこども達と生きものの距離を縮めてくれることを願っています。どうぞ、ご利用ください。

 


発送お手伝いのお願い

ニュースレター10月号(第147号)の発送を10月 7日(水)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します


編集後記: 8月26日~27日、清澄山に生物調査に行ってきました。8月下旬とは思えないくらいの涼しさと、空気の乾きを感じました。そのおかげか、いつも悩まされるヤマビルの攻撃もほとんど無く、快適な森歩きができました。二タ間川の調査では、たくさんのウグイやアユなどを確認することができ、千葉の自然を満喫しました。 mud-skipper