ちば環境情報センター ニュースレター 

ちば環境情報センター > ニュースレター目次>ニュースレター第136号 

2008. 11.7 発行    代表:小西 由希子

目   次

  1. 極東ロシアのごみ事情見聞録
  2. 水俣・千葉展へのお誘い
  3. 「NPO法人 ちば環境情報センター」との交流体験について

極東ロシアのごみ事情見聞録

千葉市稲毛区 大倉 よし子 

 日本でも、ごみの埋め立てでは、「夢の島」とか、藤前干潟のことが話題になりましたね。最近では高温焼却炉も一般的になり、ごみ処理問題があまりニュースに出てこなくなったようです。でも、実際には、まだまだ大きな問題です。核家族化して家族の人数が少なくなっても、収集日に出すたっぷり詰まったごみ袋を見ると、みなさん、ため息が出ることと思います。そんななか、とんでもない光景を目の当たりにしてしまいました。ロシア極東地域でみた、煙を上げる海岸のごみ処理場です。
 9月の終わりに、海洋ごみ問題に取り組むJEAN/クリーンアップ全国事務局の出張で、一足速く秋の始まったウラジオストクに行ってきました。国連環境計画のなかの組織で本部が富山市にある北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)が2005年から取り組んでいる海洋ごみ問題に関わる活動のひとつで、周辺国四カ国で2006年の山形県酒田市から始まり、中国日照市、韓国釜山市、そして今回のウラジオストクと一巡した「国際海岸クリーンアップ(ICC)」の実施と各国の海洋ごみ問題への取り組みを話し合うワークショップへの参加です。ICCはJEANが1990年に米国の海洋自然保護団体オーシャン・コンサーバンシーの呼びかけに答えて始めた海岸や水辺・水中のごみを品目ごとに数える調査型クリーンアップで、現在では9月・10月のキャンペーン期間に200会場以上、25,000人余りの参加者を得るようになりました。JEANはこのNOWPAPの活動にノウハウを提供する形で参加しています。

 ロシア極東の人口は約400万人と少ないのですが、ごみ処理場は河岸や海岸に作られ、下水・雨水も整備が進んでいないようです。それでも、海岸にはさほどごみはないと聞いていました。街から1時間あまりのクリーンアップ会場では、そうは言っても前日までの強風のためか、結構な量を拾い、帰りがけに海岸のごみ処理場を見学に行きました。行く途中、自然発火し常に煙が立ち昇っていると聞いていましたが、着いてみて愕然。始まりがどんなだったかはわかりませんが、海岸ぎりぎりまで迫り、広さも高さも想像を超えるものでした。
 ウラジオストクでは、いろいろな「あんまりだ〜!」がありましたが、そんなのは比較にもなりません。浸透防止シートとか囲みとかまったくなく、むき出しのまま、どんどんごみが積まれていくのです。市としては、2年前から限界を感じ、閉鎖しようとはしているけれど、ほかに候補地がなく、後数年のうちには何とかしようと思っていると言う話でした。各国からの参加者全員「わ〜、これはひどい!」と口々に声を上げ、夢中で写真を撮っていました。イベントの中で一番盛り上がってしまった見学でした。
 この燃えるごみの山もひどい話ですが、ほかにも、火力発電所で燃やした石炭の灰も野積みで、何の処置・整備もしていません。クリーンアップのときに遠くに土埃があがるのを見て気になっていたのですが、これだったか...と納得しました。
 それにしても、おしゃれなロシア人たちの環境意識というのは、まず、あるのだろうかとクビをひねってしまいます。ゴミ捨て場だけの問題なら、技術面やらいろいろ間に合わないところがあるからと思いますが、どうも、「いらなくなったものは、置いていく」くらいの感覚なのではないかと思われるのです。というのも、クリーンアップ会場へ行く途中の街角や山道の路肩の溝には、プラスチックやガラスのボトル類、食品包装・容器類が散乱していたからです。それだけならまだしも、週末だったこともあり、結婚式を挙げたばかりのカップルが街の景勝地の見晴台や公園にあふれていて、写真を撮ったり、お祝いのシャンペンやら飲んでいたり、で、そのビンやら、お楽しみに使った爆竹などはそのまんま置いていくのです。中には、がんがん割っていったものまでありました。道理で、海岸でビーチグラスをたくさん見つけたわけです。
 ウラジオストクでのびっくりは、ほかにも、ホテルの不満やら、交通・車事情、道路工事をしているのか壊れているだけなのかといった雑然とした町の様子などなど、いくらでも書けます。言葉も通じないし、助けてくれるはずの警察官は恐喝まがいのことをするし(ロシアでは旅券と出入国カード携帯をお忘れなく!)、お土産で買ってきた髪留めも使う前から壊れちゃったし...。
 でも、です。日本の現状だって、他国を批判している場合じゃありません。不法投棄から始まって、人の家の生垣に空き缶を突っ込んだり、立体交差の土台の水抜きの穴にわざわざ空き缶を突っ込み、ごみの入ったレジ袋をぶら下げてみたり、ドライブの間に飲み食いしたものをレジ袋にまとめて窓からポイ捨てしたり、挙げればきりがありません。環境問題に取り組む人も増える一方で、相変わらず汚す一方の人もいるのです。昨今の偽装事件も同様の心理だと思います。自分に関わらなければ、他人のことはどうでもいい。自分が潤えば、人が被害をこうむることは見えないものとする。

 3年前に、フィリピンのミンダナオ島を訪ねました。田舎の田園地帯を訪ね、土地の人といろいろ話しました。通過点のマニラは街にごみが散乱していましたが、田舎にはさほど目立ちませんでした。土地の人たちは「どうやったら日本のような社会になるのだろう。フィリピンは貧しい。日本のように豊かな生活を実現したい」と言っていました。でも、私には、日本がフィリピンの人々があこがれるに足る国だとは思えません。「日本を目指さなければよかった」と言われてしまいそうな気がしました。だから、そのとき見たフィリピンはちょうど日本の45年ぐらい前のような状況だったけれど、私はそのころのほうが懐かしい気がすると答えました。
 豊かさや便利さを求めるうち、私たちは何かを置き去りにしてきてしまったような気がします。それが、いま、見えない海の向こうからごみとなって海岸に押し寄せているような気がするのは私だけでしょうか。ウラジオストクでの見聞とミンダナオの人たちの素朴な、でも、切実な豊かさを求める気持ち、そして、日本の現状を思い、ぐちゃぐちゃのジグソーパズルを前にしている心境のこのごろです。


収穫祭&もちつきに参加しませんか

 NPO法人 ちば環境情報センターでは、2008年最後のイベントとして「収穫祭ともちつき」を下記の通り実施します。当日は、今年収穫した緑米(古代米)で餅をついたり、コシヒカリの試食などします。
また、新鮮な魚介類や焼き鳥なども出店を予定しています。恒例となった谷津田運動会や谷津田ウルトラクイズなど、お楽しみもいっぱい。景品にはコシヒカリなども用意してあります。暮れの慌ただしい中ですが、ちょっとした息抜き気分で、谷津田の冬のひとときをお過ごしください。

第91回 谷津田プレーランドプロジェクト「収穫祭と古代米のもちつき」

日 時:2008年12月21日(日) 10:00〜14:00  
場 所:下大和田谷津 <集合> 中野操車場バス停の向かいのラーメンショップの横
持ち物: 弁当,飲み物,お椀・皿・はし,敷物,帽子,長靴,軍手など
参加費: 500円(食材費を含む特別料金になります)

水俣・千葉展へのお誘い

認定NPO法人水俣フォーラム 東京都江戸川区 服部 直明 

 私たち水俣フォーラムは水俣病事件を通して「近代」や「人間」について、多くの人とともに考える活動をつづけています。中心となるのは水俣病の総合的な展覧会「水俣展」です。
1996年の東京展を皮切りにこれまで全国19ヶ所で開催し、12万人の方にご来場いただいてきましたが、来る12月、千葉市役所そばの千葉県労働者福祉センターを会場に水俣・千葉展を開催します。千葉では初めての開催であり、今回のテーマは「知ることから始めよう」です。水俣展は展示だけでなく、講演会、映画上映、語り部コーナー、毛髪水銀調査コーナー、ブックフェアなどさまざまな形で水俣と出会うことができます。展示には大きな軸となるストーリーの他に、患者遺影、実物、写真、美術、映像などで構成しています。
 展示全体を貫く大きな特徴は実名主義です。匿名の「誰か」ではなく、固有名を持って語られる言葉や姿は強く訴えかける力を持っています。展示の中でも記録映画作家の故・土本典昭氏が一年にわたり水俣に滞在し、ご遺族を一軒一軒たずねて撮影した474の遺影からなる「記憶と祈り」のコーナーは水俣展の魂といえる場です。

 一括りに水俣病患者ととらえるのではなく、一人ひとりを記憶にとどめるために、その人となりを伝える文章と名前が遺影のそばに記されています。遺影の空間は円形であり、その中心に身を置くと、自分が遺影を見ているというより、全遺影に見られている感覚に近づき、人類の過ちによって無念の死に至った、固有の名を持つ遺影に囲まれて、生きている者も個としての自分が問われ、自身と向き合わざるを得なくなります。
 講演会や語り部コーナーは、展示とはまた違う、その人にしか語れない生の声を、来場者に聞いてもらうための機会です。水俣展の会場を運営するのは広く一般に募るボランティアスタッフです。事前の説明会では、仕事の内容やスタッフとしての注意事項などを説明することは当然ですが、何よりも強く「来場者には一番いい状態で水俣と出会ってほしいと思っている。そのための会場スタッフでいてほしい」という水俣フォーラムの信条を伝えています。会期中に来場者を迎えることだけでなく、事前のポスター貼りや展示会場の設営、撤収などもボランティアスタッフとともに行うことで、水俣展は開催できています。
 千葉には水俣病の原因企業であるチッソの製造所があり、水俣から移ってきた多くの方たちが暮らし、また新潟水俣病の原因企業である昭和電工の製造所もあります。水俣病事件とは因縁浅からぬ地である千葉ですが、水俣病のことはけっして多くの方に知られているわけではありません。だからこそ水俣・千葉展では一人でも多くの方に水俣と出会っていただきたいと願っています。

開催概要
 日時:2008年12月10日[水]〜28日[日]
     午前10時〜午後8時
 場所:千葉県労働者福祉センター
     (モノレール「市役所前」より徒歩2分) 
 主催:水俣フォーラム
 後援:千葉県,千葉市,千葉県教育委員会,
     千葉市教育委員会

 

「NPO法人 ちば環境情報センター」との交流体験について


千葉県県土整備部 夷隅地域整備センター いすみ市 三上 幸範 

 自己研鑽研修として、「NPOとの交流体験セミナー」が企画されたことから、自然環境の保全等に関心のあった私は、貴センターを選択しました。
10月5日、初めて下大和田谷津田に行きました。観察会で配布していただいた資料にある動植物類の1割程度しか知らない私にとっては、小さい,きれい,よく動くなどと言った感動となりました。
点在する刈り取り間近の水田には、めだかやタニシなどが確認でき、水田と湧水のある水路がほぼ同じ高さであることが、水路と水田を行き来する魚類に産卵と生育の場が与えており、たいへん優れていると感じました。栗の実をたくさん拾いましたが、初めての参加ですので、遠慮して、同行されていた女性に快くあげてしまいました。
昼食場所には、雑木林があり、数種類のきのこが確認できましたが、食べたことのない種類でしたので採取は止めました。
午後は、おだがけをし、天日干しした稲穂の脱穀でした。水田は、湿田で長靴でも入れないところがあり、田植えや刈り取りは、苦労したのではと思いました。
稲藁の束の大きさは大小まちまちで、縛っていたわらは、結構解けてしまい、みんなの苦労ぶりが伝わってきました。
午後4時頃、作業が完了し帰路につきました。外房のいすみ市から参加した私は、土気駅まで歩き、郊外の夕暮れを楽しみました。
10月8日、ニュースレターの発送作業のお手伝いをしました。使用済み封筒の再利用、会員の期限切れの方に、更新書類を添付していることなど感心しました。
多くの会員の方が、ボランティアで、自然環境にとけ込んだ活動する姿に、貴センターの重要な役割を見いだすとともに、すばらしい体験ができたと思っています。ありがとうございました。

発送お手伝いのお願い

ニュースレター12月号(第137号)の発送を12月 8日(月)10時から事務所にておこないます。
発送のお手伝いをしてくださる方を募集しています。よろしくお願い致します。


編集後記:10月25〜28日、沖縄に行って来ました。那覇空港に降りるとジリジリとした太陽が照りつけ、ハイビスカスなど南国の花が咲き誇ります。フェリーで渡った伊江島では、あちこちから「ピックィー」というサシバの声が聞こえてきます。下大和田に来ていたサシバもいるのでは・・・。過ぎていった夏を思い出したひとときでした  mud-skipper